がんと付き合うために

がんの発生原因

職業と環境汚染

ある種の職業や、職業的に接触する機会の多い化学物質によって発癌のリスクが高まることが知られています。このようないわゆる職業癌には、肺癌を筆頭に、化学物質が触れる皮膚や、呼吸機能である鼻腔、喉頭、肺、胸膜、そして排泄機能である尿路等の癌が多いのが特徴です。

先進国では、職場環境が改良され、発癌性のある化学物質を禁止あるいは最小限に制約し、取り扱いには徹底的な管理を課しているようです。

また、癌の発症にはある程度の潜伏期間があり、以前に接触していた発癌性物質が今と将来の癌を生み出すことになると言われています。例えば、アスベストは、20年から40年もの潜伏期間があり、最も早い対応をとったアメリカでは近年中に、それより遅い対応だったヨーロッパでは2020年頃、さらに対応の遅れた日本では2030年頃に胸膜中皮腫の発症のピークを迎えると予想されています。

大気や室内空気、水、土壌等に含まれる発癌性物質でも、発癌リスクが高まることがわかっていますが、そのほとんどは特定の地区に限られており、出来る限りの予防対策が取られているようです。 アスベスト鉱山やそれを製造する工場の周辺住民、または労働者と同居する家族に悪性中皮腫等のアスベスト特有の癌が発症しています。

工場排気や自動車排気ガスなどに含まれるベンツピレン、ベンゼン、クロムなどによる大気汚染は先進国では、肺癌の原因の5%未満ほどになっていると推計されています。また、受動喫煙や、欧米の一部の場所で高い濃度が検出されるラドンによる室内環境汚染は、肺癌のリスク要因であることがわかっています。 その他、オゾン層の破壊の影響で有害な紫外線が増加しつつあり、北米やオーストラリアなどで皮膚癌のリスクが高まることが問題になっており、バングラデシュや台湾、アルゼンチン、チリ等では砒素を多く含んだ井戸水を飲用や生活用水として使用したことが原因で、膀胱癌、皮膚癌、肺癌のリスクが高まっていることが示されています。