がんと付き合うために

がんの発生原因

遺伝要因

親類縁者などの血縁者の中に、同じ癌が発症する確率が高い要因として、遺伝子の類似性(遺伝素因)はもちろんのこと、生活習慣の類似性(環境要因)についても考える必要があります。

飲酒行動のように、個人のアルコールを代謝する酵素の働きを決める遺伝素因によって、飲める、飲めないという体質の違いが生じることにより生活習慣が決まることがあります。さらに発癌性物質の代謝については、特定の代謝酵素の遺伝子多型という個人の体質を決める遺伝素因が、関連する発癌性物質への接触という環境要因の影響を強めたり弱めたりすることがわかっています。

ある機関が同姓の双子について癌の発症を調査し、一卵性と二卵性で同一部位が癌になる確率の差から、遺伝素因の影響の大きさを推定した研究があります。 検討した部位のうち、大腸癌、乳癌、前立腺癌の3部位で、遺伝素因の関与が統計的に有意に検出されました。その割合は大腸癌35%、乳癌27%、前立腺癌42%とされています。あとの残りが環境要因の影響とされています。

つまり、各癌とも半数以上は環境要因が関与しているのです。ほとんどは環境要因を変えれば予防できると考えられています。遺伝素因の影響の強い前述の癌でも、たとえ遺伝子が完全一致していても、同じ癌になる確率は1割から2割に過ぎないことが示されています。

では、癌の遺伝は心配しなくてよいのでしょうか。癌の種類にもよりますが、全癌の約5%以下が「遺伝する癌」と言われています。すなわち、ほとんどの人は心配しなくてもよいのですが、遺伝する癌も間違いなく存在することがわかっています。 癌が発症する割合の高さついては、遺伝素因と環境要因の双方を考える必要があります。その割合は個人個人が違うと考えられています。